遠隔コミュニケーションに関連する研究
表情Iconを用いた感情・状況空間の構築
目的
「表情アイコン制作ツール」をコミュニケーションツールとして成り立たせる事を目指ざし、現状で使用することを目的とした細かな機能の構築ではなく、必要と思われる機能を"概念"と捉え、アルゴリズムとして構築し、その実用性を検討することを目的とする。
1. 表情融合アルゴリズムの視覚化
本表情アイコンを、携帯電話やPCのメール文章内に入れ子んで利用するシチュエーションを想定した際に、「口の開閉」「繭の傾き」などの6つのスライダーバーを操作して表情を作るインタフェースは、使いにくいことが明らかである。そこで、人間の感情は複数交じり合うこことも想定し、XY軸からなる平面空間に、4つの基本典型表情を配置することで、その空間の任意の点の表情が自動的に取得できるアルゴリズムを構築、視覚化した。
2. 表情マッチングアルゴリズムの視覚化
通常の人間の、Face to Faceによる対面コミュニケーションにおいては、相手の表情をはじめとするノンバーバルな要素を用いて、相手の感情、心情、思考を読み取りながらコミュニケーションをするものである。近年のPCは、カメラを搭載しており、人間の表情を読み取り、例えばユーザが困った表情をしたらHelpを出すなどの新しい機械と人の関係(インタフェース)のあり方が考えられる。そこで、作成した表情アイコンが、どういった感情であるのかを算出するアルゴリズム(表情と感情のマッチングアルゴリズム)を構築、視覚化した。
3. 表情による感情空間地図の視覚化
例えば「色」は、「色相」「明度」「彩度」といった評価軸で、ある色を定義付けできるものである。表情は感情が表出するものと本研究では捉えているが、感情をいくつかの評価軸で定義する研究は多々行なわれている。本研究では、表情に表出する感情は「ネガティブ - ポジティブ」「強い - 弱い」「能動的 - 受動的」の3軸で定義できると仮説を立て、各感情をしめす表情から受ける印象をアンケートから分析し、この3軸での表情による感情空間地図の視覚化を行なった。(「ネガティブ - ポジティブ」「強い - 弱い」による表現は、一定の評価を得たが、「能動的 - 受動的」に関しては、検討の余地を残した。)
結論
表情アイコンをもちいたコミュニケーションツール開発をテーマに、3つの可視化ツールの構築を行った。「感情空間地図」に関しては、軸の選定と各軸に6パラメータがどのような強度で影響を与えるかの検討を続けていかなくてはならないが、表現のアルゴリズムそのものの開発は完了した。また、「表情融合」「表情マッチング」に関するアルゴリズム開発に関しては、一定の成果をおさめたといえ、今後は具体的なサービス展開を見越し、実用ツールに組み込むことが今後の課題となった。